【医師が解説】花粉症シーズンが本格化! やっておくべき正しい対策

こんにちは、一盛病院です。
少しずつ寒さが和らぎ、春の訪れを感じる季節になりました。
しかし、それと同時に悩ましい「花粉症」のシーズンがやってきました。

すでに目のかゆみや鼻水に困っている方もいらっしゃるかもしれません。
東京都の観測データでは、2月20日以降に花粉の飛散量が急増しています。
今回は、辛い花粉症シーズンを少しでも快適に乗り切るための効果的な対策についてお話しします。

1. 要注意!花粉が多い日の特徴と対策

花粉症の対策には、マスクやメガネ、帰宅後の衣服のブラシがけといった物理的な対策も重要です。
そのためには、どういった日に花粉が強く飛ぶのか知りたいですよね。
東京23区内では、以下のような特徴の日に花粉が多いことが知られています。

  • 数日前に気温が上がった日  (最高気温が15℃を超えると、山で花粉が飛ぶ準備が行われます)
  • 空気が乾燥している日    (花粉のような細かい粒子が舞い上がりやすくなります)
  • 北西からの風が強い日    (山間部から都心に大量の花粉が運ばれてきます)

実際に気象庁の観測データなどを見ても、最高気温が15℃を超え、乾燥した強い風が吹いたタイミングで飛散が激増していることが確認できます。

2. 先手必勝の「初期療法」

花粉症の飲み薬は、症状がひどくなってから慌てて飲み始めるよりも
花粉が本格化する直前や、症状が軽いうちに飲み始めるのが最も効果的です。
これを「初期療法」と呼び、最新の診療ガイドラインでも強く推奨されています。

アレルギー反応で鼻の粘膜が過敏になりきる前に飲み薬でブロックすることで
ピーク時のつらい症状を格段に軽くすることができます。

「我慢できなくなってから受診する」のでは間に合いません。
早めの受診で、辛い思いをせずに乗り切りましょう。

3. 「花粉症注射」には注意!!

この時期になると「1回の注射でワンシーズン効く」という治療を聞いたことがあるかもしれません。
周りに経験された方もいるかもしれませんが、これには十分注意してください。

この注射の中身は「ケナコルト」という強力な持続性ステロイドです。
免疫反応を強力にシャットダウンするので、確かに鼻水などはピタリと止まります。
一般に40mgを筋肉に注射し、数週間かけて血中に溶け出していくため約1ヶ月間効果が持続します。
これは「プレドニゾロン(内服のステロイド薬)15mgを、約1ヶ月間毎日飲み続ける」のと同じような状態になると言われています。

しかし、アレルギー性鼻炎の治療としては明らかに過剰なステロイド暴露です。
ガイドラインでも明確に「推奨しない」と否定されています。
ガイドラインは一般に「強く推奨する」や「弱く推奨する」という表現を用いますが、「推奨しない」という文言は明らかに有害な場合にしか使用されません。

実際に、以下のような副作用リスクに「ワンシーズン」晒され続けてしまいます。

  • 注射部位の萎縮(皮膚や筋肉がへこんでしまう)
  • 副腎皮質機能不全(自分のホルモン分泌機能が弱くなってしまう)
  • ムーンフェイス(頬や顎周りに脂肪が付き、まん丸な顔になってしまう)
  • 感染症への罹患(免疫機能が弱まり、細菌やウイルスに感染しやすくなる)

当院でも、患者様の安全を第一に考え、この注射は行っておりません。
症状が強い場合でも、安全で効果的な治療の組み合わせをご提案できますので、まずはご受診ください。

なったことのある人にしかわからない辛い花粉症。
たかが「花粉症」と我慢せずに、まずはお気軽にご相談ください。
早めに安全な対策をして、快適な春を迎えましょう!

医師 一盛 晃



【参考・引用元】

日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 編集
『鼻アレルギー診療ガイドライン 2024年版(第10版)』(金原出版)

東京都保健医療局「東京都の花粉情報(飛散花粉数データ:スギ)」
https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/allergy/pollen/data/cedar.html

気象庁「過去の気象データ検索(東京都 2026年2月)」
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/daily_s1.php?prec_no=44&block_no=47662&year=2026&month=2&day=&view=p1